「Zine」
近年、情報ツールがデジタル化やグローバル化している中でも、アナログとして根強く熱を帯びているものがある。
それが特定の趣味や思考を凝らして自らの手で作り上げる「Zine」という媒体だ。
特定の愛好家が自費出版を経て「同人誌」という形でその価値を高めている冊子もあるのだが、Zineは比較的そのハードルを下げ、様々な人が目にする事の出来るフリーペーパーやフリー雑誌といった形で、ひっそりと今日も何処かの場所に置かれている。
中にはしっかりと自ら費用をかけて販売されているものもあるのだが、その大半は“好きなモノコト”を題材にして、作り手側が楽しみを持って一つの作品に仕上げているものが多く、何よりもその手作り感が魅力的だ。
手書きであったり、オリジナルのイラストを加えたりと、どこの誰に手に取ってもらえるのか、はたまた届いていくのかも分からない未知の領域に希望を持つように、その内容もまた本当に読んでもらえるのかも分からない…。
もしかしたら、ただの紙切れや即ゴミ箱行きになってしまうかもしれない“主張”と共に、Zineには尊さと儚さが付随するのだ。
いろんなお店の情報コーナーやフライヤーなどの横に、ちょこんと一緒に置いてあるだけかもしれないそんな存在にこそ、道端にひっそりと、そして力強く生えるタンポポの綿毛のように、今日も自らの意思と、吹く風によってはセカイを広げていく力を持っているのかもしれません。
皆さんの日常の生活の中で、少し視点や視野を変えてみて、普段なら見逃してしまうそんなモノコトに着目してみては如何でしょうか?
広報委員
奥野 薫平